TAKUWA

総合防災対策専門メーカーの株式会社拓和

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地下流水音の測定方法と測定注意点

測定

整地

①地表面を露出させる
測定ポイントでは、ピックアップセンサーの周りの枯葉、草、草の根等を取り除き、地表面が見える状態にし、センサーケーブルが草等に接触しないようにします(草の細根は、かかとで簡単に剥ぎ取ることができます) (写真1)。

②地表面を整地させる
ピックアップセンサー底面の接触をよくするために、地面を踏み固め、平らにする(写真1)。
(接触が維持できる硬い地盤は省略しても良い) 。

整地した設置例
写真1 整地した設置例

音の聴き分け

初めて使う時に、「どれが地下流水音なのか分からない。」という質問を受けることがあります。地下流水音は本体の発するホワイトノイズと比較すると分かりやすいです。
写真に示すようにピックアップセンサーを空中で静止させ、①本体の発するホワイトノイズを聴きます。次に②地盤にピックアップセンサーを差し込み地下流水音を聴きます。②ー①の音の差が地盤へ伝わった地下流水音になります。ホワイトノイズと地下流水音を聴き比べてみましょう(写真2)。

①ホワイトノイズ
加速度センサーを空中にぶらさげ静止させ、その時の音を聴いて下さい。
「シャー」という音は、ホワイトノイズです。

②地下流水音
ピックアップセンサーを地面に挿し込み音を聴くと、空中で聴いた時の「シャー」というホワイトノイズの他に、「ポコ」「コロ」等の音が聴こえます。この音が地下流水音です。
なお測定者自身の動きがそのままノイズの原因となるので、ピックアップセンサーを地面に挿し込み音を聴く時は、体を静止してください。

ホワイトノイズの測定例
写真2 ホワイトノイズの
聴音の仕方

ホワイトノイズと地下流水音の音源

ホワイトノイズの音 曝気音の音

ピックアップセンサーの設置

①センサーロッドを装着する
現地の地盤の硬さや土層の厚さによってセンサーロッドを選択します。

センサーロッド種類

  • 大(20cm):センサー底面の接触が維持できない軟弱な地盤用
  • 中(15cm):標準:一般的な地盤用
  • 小(10cm) :地盤の土層が浅い場所用 (法面の吹付工など)
  • センサーディスク:岩盤、アスファルトなど土のない場所(センサーディスクは別売り)

②ピックアップセンサーを地表に挿し込む
振動はピックアップセンサーの底面で感知するので、ピックアップセンサーの底面が確実に地面に接するように設置してください。

※ピックアップセンサーは鉛直方向の振動をとらえていますので、ピックアップセンサーの設置は原則として鉛直方向に設置してください。

※ノイズの原因となりますのでピックアップセンサーに草等が触れないようにしてください。

※防振板は地面に固定してください。ケーブルのノイズが入らないようにしてください。

※軟らかい地盤にピックアップセンサーを挿し込んだ直後は、地面が元に戻ろうとする力が働きます。そのため、地盤が振動し地下流水音に似た音が聴こえる場合があります。この場合には、少し待って地盤の振動がおさまってから測定を開始してください。このような振動は地面を整地する際によく踏み固めることで軽減されます。

ピックアップセンサーの設置
図1 ピックアップセンサーの
設置イメージ

防振板の役割

ピックアップセンサーのケーブルが振動すると、その振動がピックアップセンサーに伝わりノイズとなります。
そのため、防振板はピックアップセンサーにケーブルからの振動が伝わるのを防ぎます。
非保護区間はノイズが除去できないので、正しい設置方法にて設置してください。

ピックアップセンサーの設置
図2 防振板の役割

ピックアップセンサーの正しい設置方法

  1. ピックアップセンサー底面が地面にしっかり接触するように設置する
    (センサーロッドは地面に固定するためのもので、振動を検知するものではありません)
  2. ノイズの原因となるものをピックアップセンサー周辺(非保護区間)から排除する
  3. ケーブルが絡まないようにする

○

正しい設置例

間違ったピックアップセンサーの間違った設置例

①ピックアップセンサー、防振板には、草や枯葉などが接触しないようにして下さい。風により、草などがゆれ、振動がノイズの原因となります。

X
草が接触している
○
周りの草などを除去する

②ケーブルは、絡まないようにして下さい。ケーブルが絡むとノイズとなります。

X
ケーブルが絡んでいる
○
ケーブルが絡まない様に設置する

③ピックアップセンサーと防振板は接触しないようにして下さい。防振版がゆれるとノイズとなります。

X
防振版とピックアップセンサーが接触している
○
ピックアップセンサーと防振板を離す

④ケーブルのねじれを解消して下さい。ケーブルがこすれ、ノイズとなります。

X
ケーブルが接触してこすれている
○
ケーブルがねじれないように設置する

測定時の姿勢

測定は静止した姿勢で行ってください。動くとピックアップセンサーに振動ノイズが入るので、歩幅は肩幅位で、静止した姿勢で行います(呼吸を止めると静止しやすいです)。また、斜面などで、静止しにくい場合は地面に座ると振動が発生しにくいです。

測定時の姿勢
写真3 測定時の姿勢

GPSによる測定位置の記録と整理

地下流水音測定装置には測定箇所の位置(緯度・経度)を記録する機能がありません。ここでは携帯性に優れた小型GPS端末を別途用意して測定箇所の位置を記録し、水みちの位置を地図上に示した「水みち推定マップ」の作成方法を説明します。

概要

弊社では、林地など衛星からの信号を受信し難い環境においても、数m程度の精度を確保でき、かつ安価なことからGARMIN社製のGPS端末を推奨しています。ここでは同社のeTrex30を例に説明します。
なお、使用するGPS端末は他社のものでも問題ありませんが、アメリカ(GPS)、ロシア(GRONASS)、日本(みちびき+α)の衛星に対応している必要があります。

GPS端末の操作手順

1、測定の準備

①GPS端末の電源を入れます。

②メインメニューから「設定」→「システム」と選択し、衛星受信モードを「GPS+GLONASS」にします。
および「MSAS / WAAS」をオンにしてください。
※上記の設定をすることで精度が上がります。

GPSの設定

③メインメニューから「衛星情報」を選択し、補足衛星を確認します。
※衛星の補足数が、少ない場合は精度が下がりますので注意してください。

GPSの設定

④GPS 端末は、なるべく高い位置で測定してください。GPSを受信しやすく、測定の精度が良くなります。

GPSの設定

2、位置の測定

①メインメニューから「平均位置測定」→「ポイント作成」→「保存」を選択し、測定位置の緯度・経度を記録します。
※平均位置測定を行う事で精度が上がります。

位置の測定

②後に地下流水音測定装置の測定データと測定位置を合わせるために、画面に表示されている「ポイント名」、「補正距離」を野帳などに記入してください。

※「精度計算中」は、100%を推奨します。
ただし衛星の受信状態によっては測定に時間がかかる場合がありますのでその際は、測定位置の精度が落ちますが測定時間が1分程度で途中終了・確定しても構いません。

※「補正距離」が、5m 以上ある場合には、計測を継続してください。
(補正距離はソフト上で測定位置を補正する際の参考として使用します)

3、地下流水音の測定

①「地下流水音測定装置の簡易操作方法」を参照し、水みちを測定します。

※後でGPS 端末で記録した測定位置データと、地下流水音測定装置の測定データとの測定位置を合わせるため測定した「地下流水音測定装置の画面に表示されている記録番号」を、野帳などに記入してください。

位置の測定

GPS端末と地下流水音測定装置の測定データの位置合わせ

1,測定データ取り込みのための準備

①PCに「日本登山地図 TOPO10M PlusV2」操作マニュアルに従い、地図データ管理ソフトBaseCampをインストールしてください。

2,測定データの取り込み、位置合わせによる水みち推定マップの作成

①BaseCamp を起動します。

位置の測定

②PCとGPS端末を専用のUSBケーブルで接続します。

位置の測定

③BaseCamp 上 にGPS デバイスが表示され、「内蔵メモリ」を選択すると地図上に測定した位置がプロットされます。

位置の測定

④プロットされた測定位置を選択して、タブの「メモ」の名前をGPS端末の「ポイント名(タブ「メモ」名前に表示されている番号)と地下流水音測定装置の「記録番号」が一致した測定データ(代表値(D))に変更してください。

位置の測定

⑤タブ「メモ」の中のディスプレイで、代表値(D)の値によりマークが変更できますのでマークの大きさや色分けを行います。この結果から代表値(D)の大きい値が集中する場所が地図上に示され、水みちが推定されます。
※操作方法などの詳細は、日本登山地図 TOPO10M PlusV2 操作マニュアルを確認してください。

位置の測定

装置の設定

測定データの記録と回収

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